翌日…。
市のグランドにはまばらながらに観客が集まっていた。
アップをするみんなを眺め、相手校の選手たちを見る。
隣の高校のサッカー部。規模はオレたちより部員は多いが、実力差は大してない。
県大会への出場経験は現在の3年生よりなし。監督は就任2年目だが教師。
飛び抜けてる選手がいれば別でも、勝てる相手のはず…。
「監督、なに見てるんだ?」
「相手チーム。って、監督ってやめろよ彰矢」
顔を正面に戻し、彰矢を睨む。困ったように眉下げんな…。
「だって雪兎、監督だろ?監督を監督って呼ぶのおかしいか?」
「おかしくないけど、なんかやだ」
「荻原監督~!」
「先輩は茶化さないでくれます?」
彰矢は天然だけど、先輩のはわざとだ。
睨み付けると、白々しく怖い怖いと言いながら両腕を擦っていた。
…練習メニュー、死ぬほどきついやつに変えてやる。
復讐を誓い、不敵に微笑んでいると、審判がボールを持ってグランドに入っていくのが見えた。

