「…俺たち今から勉強するから、一緒にやろう」

「はぁ?そんなめんどくせぇことしねぇよ。それより、早くワーク貸せって」

彰矢の精一杯の譲歩すら塩岡ははね除ける。

それどころか、催促すら始める塩岡にいよいよ返す言葉を失った彰矢の肩を引き、塩岡の前に出る。

その途端、あからさまに表情を歪める塩岡を遠慮なしに睨み付けた。

「なんだよ」

「お前、再試受ける気かよ」

「はぁ?」

「途中式、書けねぇんだろ?だから彰矢に脅しまがいなことしてまでワークを借りたがる。…そんなんでよくまぁ余裕でいられるな」

「てめぇに関係ないだろ」

「オレ自身には関係ない。だけど、チームに迷惑をかけるんだな」

再試の日は、夏の大会の初戦。

ベンチが実質1人しかいない現状、再試なんかやってる場合じゃないとわかるはずなのに、塩岡にはなんの危機感も与えられなかったみたいだ。