「お、…荻原………くん」

意識してなきゃ聞き逃してしまいそうな声。顔を向けると、身を縮こまらせ、軽く伏せ目がちなクラスメイトがいた。確か、名前は…。

「…水城 望(みずき のぞむ)くん、だっけ?」

彼は一瞬身を震わせると、ゆっくりと頷いた。彼の長めの髪が揺れて、彼の目も隠してしまいそうになる。

オレのことを抜いておけば、クラスメイトと馴染んでいない…馴れ合ってない?関わってない??

…とにかく1人で過ごしてることが多いのは実質彼だけだ。

まぁ、このクラス最初はオレを異分子にすることでほかが団結したようなもんだもんなぁ…。

その輪に入りたくなかったのか、彼の正義感か、あるいは…。

「あ、…あの……わ…ッぼ、僕にも…お、教えてほしくて…」

話しかけられて思考を止める。なんだろう、すごく違和感。

無理してる、みたいな…。