「ごめん、俺トイレ行ってくる!」

彰矢が片手を上げて席を立つ。小走りで彰矢が離れていくと、会話が途切れてしまった。

滝原とくまはそれぞれスマホを確認してる。塩岡はさっきよりスマホに集中してるように見えた。

「…雪兎、課題のことだけど」

「んあ?…どの教科?」

突然話を振られたせいで上の空だったことがバレバレな声を出してしまった。

滝原が笑っているような目をしてるのに気がついて軽く睨んだ。

「数Ⅰ。俺あんまり得意じゃないんだよ。雪兎得意か?」

「まぁ、嫌いではないけど」

「なら、このあと「なぁ、ゲーセン行かねぇか?」」

また急な割り込みに舌打ちしそうになったのを全力で抑える。塩岡を見れば、いつの間にかこっちを…正確には滝原を見ていた。

…あっそ、そこまでやるわけだ?塩岡のあからさまな態度にいい加減に我慢の限界がくる。

もういい。そっちがそのつもりなら、オレも馴れ合う気なんか毛頭ねぇよ。