「ん゛ん゛………」

ゆきの表情が苦し気に見えるのは気のせいじゃなねぇだろこれは…。

ため息をつき、ゆきの安眠を妨害する毛玉を持ち上げた。

「ナ゛ァ~」

「人の頭でくつろぐな」

不満そうに鳴くルトを床に下ろし、ゆきを見るがまるで起きる気配がない。…相当疲れたのか。

頭を撫でてやると、短くなった髪がすぐ指から離れていく。

「…ゆき、風邪引く」

「…」

肩を揺さぶっても起きる気配がない。ルトが頭の上いても起きないくらいだ。この程度じゃ、起きないだろう。

ゆきの肩に腕を回して膝裏を抱える。起きてたら、嫌がるだろうな…。

ゆきをベッドに寝かし、端に腰かける。布団をかけてやると横を向いて丸くなった。

「…」

手を伸ばしかけてやめる。途中まで伸ばした手を下ろし、立ち上がる。電気を消して、ゆきの部屋を出た。

直矢side