直矢side
「お疲れ様~」
「お疲れ様でした」
バーの仕事が済んでみんな帰っていくのを見送る。
店に残ったのは、俺と青羽だけ。青羽がテレビを切ると店は一気に静まり返る。
「直矢、ゆきのことだけど」
厨房の電気を切りながらホールに来た青羽は、軽い動作で髪を掻いた。
「エサで釣ったつもりだけど、夕飯全部食べてるか確認しておいて」
「あぁ」
スタッフオンリーのドアをくぐる。階段を上がり、リビングを覗くと静まり返っていた。電気すらついてない。
電気をつけると食卓はきれいに片付いている。シンクを見れば、皿は片付けられていた。
アイス用のスプーンもある。…ゆきはまんまと青羽の策にはまったらしい。
だが、24時を少し回った程度。まだ起きててもおかしくないとは思ったが、やはり疲れていたのか?
ゆきの部屋を確認しに行く。部屋から漏れる光にまだ起きてるのかと部屋を覗いて血の気が引いたのが分かる。
机に突っ伏して寝るゆきの頭に白い毛玉…。