店を出て行った一行を見送り、息をつく。
…流石に、ちょっと疲れたな。
「ゆき?」
「あぁ、うん。…大丈夫。ちょっと疲れただけ」
頭を撫でる手は優しい。直矢はオレの顔を見て眉間にしわを寄せると、抱っこしてたルトを代わりに抱っこする。
「…風呂入ってこい。青羽、ゆきの分だけ先に出してやってくれ」
「いいよ。待ってる」
「雪兎」
軽く、ほんの軽く睨まれて苦笑する。心配しすぎだっての…。
でも、店の中を見れば、みんな心配そうな顔をしてる。確かに少しだけ疲れがあるのは事実だ。
「分かった。すぐ休むから」
そう言えば、直矢の表情が柔らかくなる。笑いかけてスタッフオンリーのドアに向かう。
「ナ゛ァ~」
可愛らしくない鳴き声と共に、ドンッと聞こえたような気がする。振り返れば、ノソノソとルトが歩いてきた。ドアを開けるけど、オレの足元で裾を引っ掻いてくる。

