「でかぁ。何キロあるんだよ」
「ん?10キロ」
「すげ!?」
彰矢がルトに手を伸ばす。あ、引っ掛かれる。
「いで!?」
「ごめん。止め忘れた」
「ひでぇ!!」
モゾモゾ動き出すルトに従って抱き上げる。ウゲッ重い…。
両腕をめいいっぱい使ってルトを支えると、気持ち良さそうに目を閉じた。オレの腕をベッドにされた…。
「荻原、俺たちそろそろ帰るわ」
「また明日な」
「っあ、俺も!雪兎、また明日な!」
「おー。また明日」
先輩たちは怜斗たちに解放されたらしい。そして、彰矢も先輩たちについていく。
手を振ってくれる先輩たちに手を振り返す。その時、葛城先輩と視線が重なる。その目にはもう、険しさなんかなくて、少しだけ気まずそうな顔をしていた。
「葛城先輩、また明日からよろしくお願いします」
だから、あえて声をかける。葛城先輩は驚いたような顔を浮かべたけど、ぎこちなく笑って見せた。
「またな、荻原」
「はい。また」

