「荻原は門限とかあんのか?」

「…特にはないですけど、連絡はしますよ。怒られるの嫌なんで」

「親うるせぇの?」

「…どうでしょうね」

その質問は、ちょっと答えにくい。

適当に誤魔化したけど、先輩たちは気にした様子はなさそうだった。

さてと、そろそろ帰らねぇと…。

「あれ、ゆき?」

「おぉ、ゆきだ。ゆーきー?」

ッゲゲ…。聞き覚えのある声が2つ。

振り返りたくない。…大騒ぎになる。

嫌な汗が背筋をなぞる。さぁて、どうやって逃げようか?

「雪兎、知り合い?」

「…彰矢、先輩。お先に失礼しますっ!!」

「え?」

ごめん彰矢。理由は明日話すっ!!!

スポーツバックを握り締め、走り出す。あいつらを上手く撒いて自分の部屋に逃げ込む!