女子のキャプテンは言葉をなくす。

そんな彼女に興味を失った雪兎は彼女から離れていく。

「ゆき!ほらドリンク!!」

「っいだ!?愛華てめっうわ!?」

「タオル!ほらアイシングも!!」

「ストップ、ストップ!!」

ベンチに下がった途端、愛華からあれこれ渡された雪兎は受け止めきれず、手から何かがこぼれ落ちていく。

「雪兎、大丈夫か?」

「大丈夫じゃねぇ」

見かねた彰矢がこぼれ落ちたものを拾う。

ため息をこぼした雪兎は、地面に落ちたドリンクを拾おうとして一瞬止まる。その止まり方は不自然で、傍にいた彰矢と愛華に違和感を与える。

「ゆき」

「雪兎?」

「…何でもない」

何事もなかったように、ドリンクを拾う。ボトルについてしまった砂を払い、それを口にした。