女子のボールから試合が再開される。
だが、残り2分足らず。ボールを回し、時間が過ぎるのを待つつもりだった女子のキャプテンがパスを出そうとした刹那、そのボールが奪われる。
いつの間にか敵の懐に飛び込んだ雪兎がボールを奪ったのだ。
雪兎は軽い調子で次々に選手をかわしていく。まっすぐ向かっている先など、見なくても分かる。
「止めて!!」
女子のキャプテンの悲痛な声が響く。
ここで点を入れられれば流れが男子に流れる。そんな状態で前半を折り返してしまう。女子はモチベーション維持のためにも、ここで止めなければいけなかった。
だが、思いむなしく雪兎からボールが離れる気配はない。
あっという間にゴール前に躍り出た雪兎は、視線を流しながらシュートを放つ。
ボールは雪兎の視線とは真逆の方向に飛び、不意に大きく機動を変える。弧を描いたボールはゴールに吸い込まれていき、ゴールを大きく揺らした。

