「ゆきとぉぉおおお!!!」
「ッ!!?」
両手を上げて駆け寄ってきた彰矢に雪兎は笑みを消す。
目の前に彰矢が来たと同時に横に避けた雪兎は、置き土産のように片足を彰矢の足に引っ掻ける。もちろん避ける術のない彰矢はグランドに伸びる。
「受け止めてくれよ…」
「ほざけ。オレが潰される。つーか抱きついてくんな」
「ひでぇ……」
しかも実証済み。二度と潰されてたまるか。
のろのろと起き上がった彰矢にため息をついた雪兎は、手を差し出す。その手に気がついた彰矢は、迷わずその手を取って立ち上がる。
「彰矢、隙があればボールを回す。気を抜かず、自分の走りやすい場所を常に探すんだ」
「分かった」
彰矢が笑うのを見て、雪兎は手を離した。

