「単刀直入に言うと、櫻子のこと、幸せにしてあげてください」
「え?」
「涼さん、櫻子のこと気になっているでしょ? 見てれば分かります。櫻子は、自分は恋愛しないと言っているけど、きっと誰よりもそれを願っているはず。きっと涼さんなら櫻子の思い、叶えてあげられます」
空の顔には、切なさが浮かんでいた。
「なんでそんなこと言うの?」
その声は、涼のものではない女の人のもの。
「…………櫻子」
空と涼の後ろに、櫻子が立っていたことを2人は気がつかなかった。
そして、櫻子は無表情で空を見ている。
「なんで空が、そんなことを言うの?」
「それは……」
涼は、2人を残してその場を去る。
櫻子は空を見つめ、空はその視線から目を逸らす。
「私、いいのよこのままで。恋愛はしなくてもいいの」
「でもそれじゃあ、櫻子がかわいそうだ」
「……どうして空がそう思うの? それは、…………空には関係のないことよ」
櫻子の言葉は冷たいが、その言い方は、自分自身が苦しんでいるようにも聞こえた。
「関係ないかもしれない、でも…………好きな子には幸せになってもらいたいだろう」
今は、空は櫻子の目をじっと見ている。
その目からは、冗談だという雰囲気は一切ない。



