「いつも僕のケーキを美味しいって食べてくれる柑菜さんに、僕は甘えてしまっていたようだ」
その秋斗の言葉は、柑菜にとって今までで一番の中で心に響く。
だから、柑菜は必死で自分の思いを伝えた。
「いつでも……いつでも甘えてください! 何回でも何十回でも秋斗さんのケーキ、美味しいって伝えに行きますから!」
その柑菜の言葉に、秋斗は心の中でずっと凍っていたなにかが溶け始めてたのを感じた。
そして、今ならもう一度挑戦できると感じた。
フランスで、もう一度。
「僕、行くよフランス。もちろんすぐっていうわけにはいかないけど、本場でもっとたくさんのことを吸収して、柑菜さんに今よりもずっと美味しいケーキを食べてもらう」
「はいっ、ぜひ食べさせてください!」
「うん、必ず」
柑菜が見る秋斗の姿は、今までで一番輝いて見え、それはすごく眩しかった。
それが嬉しいと感じる反面、精神的にも物理的にも遠いところを目指す秋斗がだんだん知らない人になってしまいそうな寂しさも感じていた。



