「これからそのイメージを真面目で優しくてカッコイイ人に変わるのが楽しみだな?」

「ほら、そういうところがチャラいんだよ。そういうのは自分じゃ言わないからね……ふふっ」


何故だか滝沢くんといると笑顔になれるから不思議だ。

いつもの作った笑顔なんかじゃなくて自然と笑えている自分がいる。

きっと、彼の醸し出す雰囲気がそうさせるんだと思う。

チャラいくせにどこか憎めない性格なんだろうな。


「うんうん、やっぱりハルは笑ってる方がいいな」

「何言ってんだか」

「その笑顔に惚れるやつもいるってことだよ」

「ほんとバカみたい」


おどけたように笑って、滝沢くんの肩をポンッと軽く叩いた。

ありがとう。

滝沢くん……いや、カイくんのおかげでちょっと気が楽になったよ。


「色々とありがとう、カイくん」

「別に俺はなんもしてねえ……って……は!?今、お前なんて言った!?」


目を大きく見開いて、驚いたように声を上げたカイくん。


「何も言ってないよ」


恥ずかしくて一回しか言えないよ。

これから呼ぶ機会があれば慣れていくだろう。


「カイくんって呼んだよな!?不意打ちとかお前!なんだよ!嬉しい、やばい」


彼はニヤニヤしながら口元を抑えて興奮している。

名前呼んだだけでそんなに嬉しいもんなのかな?

私にはわからないけれど、カイくんが喜んでいる姿を見ているといつの間にかこちらまで頬が緩んでいた。

それから他愛もない会話をしながら家まで送ってもらい、手を振って別れた。