4月 始業式

新学期にも関わらず 朝早くから部活に駆り出される。

「そこ!音程おかしい!!」

「はい!」

城藤 結姫 ( シロフジ・ユウヒ )

姫なんて可愛い漢字がついてるものの

見た目は特に良くも悪くもない、いわゆるごく普通の女子。

さらに 昔から視力が悪く、眼鏡をかけていて、いかにも真面目そうに見える。

が 、実際は ごく普通 。

…と、なんとも言えない普通すぎる自分である。

中学にも慣れだした頃の2年生の春。

学校生活は楽しい事ばかりではない、
なんて感じるようにもなってきた。


特に 毎日の朝練が苦痛で仕方ない。

私の部活、吹奏楽部は 顧問の先生が厳しいことで有名だ。

「今日の午後は入学式なんだからきちんと演奏できるように!新入生に先輩すごいなってとこ見せなさい!」

「「はい!! 」」

そうだ、もう先輩になるんだなぁ…

新入部員多いといいなぁ…

そんなことを考えながら楽器の片付けを急ぐ

片付けが終わった部員は、ドキドキと不安でいっぱいの顔して昇降口に急ぐ。

そう、クラス替えの発表だ。

「ユウちゃーん!クラス替えだよ!どうしよう!私話せる子少ないのに!!」

「大丈夫 大丈夫、ナナ落ち着いて。漫画みたいなスタートになってるよ。」

美藤 渚々乃 (ミトウ・ナナノ)

私は 昔からナナと呼んでいる。

同じ吹奏楽部で 小学校からの友達。

ナナは人見知りで男子が苦手…というか嫌いな友達。

「私もそんなに話せる人いないしなぁ…
ナナと一緒だといいんだけどね。」

「私はユウちゃんと一緒じゃないとやだ!不登校になるよ!!」

「こらこら…まったく…」

涙目になるナナを連れて 昇降口へ急いだ。