「気分転換は必要ですよ?」

「天ヶ瀬さんはどうやって気分転換してるんですか?」

「私は……」


まさかここで。オンラインゲームで気分転換してます。なんて言えるはずもなく。


「お風呂とかですかね。入浴剤とかバスオイルとかにこだわってます」

「なるほど」


本当に感心してるみたいに頷く主任がなんか可笑しくて。


「自分が楽しめればそれで気分転換になると思うんです」

「そうですね。天ヶ瀬さんの言うとおりです」


フッて一瞬微笑んだような気がしたけど、これまた立ってる私の位置からは見えなくて残念。

ん?残念。ってなんだ?


「あ。あの。じゃあ、今日はこれで失礼します」

「はい、おつかれさまでした」


このまま主任と話をしていたらなんか変な思考に持っていかれそうで、あわててロッカールームに急いだ。


その後ろ姿をゆっくりとコーヒーを飲みながら主任が見つめていたなんてこと思いもしなかった。



今日もはやく帰ってゲームするんだもんね。

昨日、50になったから、今日は新しい狩場にいけるし楽しみ。

今日から乗り物もあるし。

あ、でも今日はお風呂にゆっくり入ってからにしよっかな。

主任には「気分転換も必要ですよ」なんて言ったけど、私の場合はただのお風呂好きっていうだけなんだけど。

今日は何の入浴剤入れようか。なんて考えながら家へと向かう。

気分転換する前にそのことを考えただけですでに気分が上がっていて。


「私って単純。」


駐車スペースに車を止めてアパートの階段を登る。

鍵をあけて部屋の中に入り、壁にある部屋の照明のスイッチに手を伸ばす。


「ふぅ。おつかれさま」


今日も一日頑張ったね。って。
いや、今日はそんなに頑張ってもいないか。

さてと、ご飯とお風呂。
その後は……