「そろそろ話す気になった?」
「ぇ、あ、うん……」
でもこれを話す前に潤兄には謝らないといけない。
この前してしまったこと。
「潤にぃ。この前はごめんなさいっ」
「ん?何だっけ?」
きっとわかってるくせにわざとこういう言い方をする。
その間もビールを飲み続ける潤兄。
「この前心配してくれたのに、追い返すようなことをして…」
「まぁほら、そんな日もあんだろ?」
結局こういう時は全然怒ってくれない。
私は悪いことしたのに、これって結局主任と同じ子ども扱いしてるからなんだよね?
「潤にぃさ、何で怒んないの?私ひどいことしたじゃんっ何で?」
「は?何怒ってんの?桃。誰だってそういう日があるって」
誰だってっていうけど。
あの時の私は最悪で、今自分で思い返しても本当に子供じみてた。
お酒で忘れることなんて出来ないのに。
その上、逆ギレみたいな態度までとって。
そういうのはちゃんと叱ってくれなきゃ。
どんどんだめな子になっちゃうのに。
「いつだってそうやって子ども扱いじゃないっ!潤にぃも主任もみんなそうっ」
興奮した私は、何故か主任の名前まで出してしまってる。
潤兄には全然関係ないのに。
「桃の事、子供扱いしたことなんてねーよ」
「だっていつも迷惑掛けてる」
「迷惑なんかじゃねーよ、好きでやってるんだし」
好きでやってる?
そんなわけない。
潤兄に何のメリットもないのに。
そんなボランティアみたいなこと……
「桃のことで面倒だとか、迷惑だとか、思ったことは一度もねーよ」
手に持っている缶ビールを見つめながら呟くようにいう潤兄に。
それ以上何もいえなくて、私も置いてあった梅酒を飲んだ。

