家までの帰り道を主任と並んで歩く。
こうやって送ってもらうのは何度目だろう?

外回りに同行するようになって最初の頃は主任の歩くスピードについていけなくて、早歩きどころか小走りになったんだっけ

いつの間にか私にあわせて歩いてくれている主任。
仕事の時には見れないこの優しさにどんどん惹かれていったんだよね……


駅前の通りを過ぎてだんだんと住宅地に入っていく。
この時間車の通りはあっても、人はほとんど歩いていない。


「思ったとおり、けっこう暗いですね」


外灯はある。
でも誰も歩いていないと寂しい雰囲気っていうか暗さが際立つような気がする。

私もこの時間は徒歩ではほとんど出かけない。
駅に向かう時には感じなかったけど、そう言われてみればたしかに暗いかも?


「そう、ですね」

「車で来れる所にしておけばよかった……」


私のほうが呼び出したんだから、主任のいる場所の近くにいくのは当然なのに。
だからそんなことないってことをアピールしてみる。


「あ。でも来る時は人も歩いてましたし、こんなに静かな感じじゃなかったですよ?」


私の事、心配しているように聞こえてしまって、上司として心配してるだけなのに、バカだな私。


「……明日でも良かったですね」


ため息混じりに主任が言うのが聞こえて気づいたときには


「明日じゃ、ダメなんですっ」


考えるよりも先に言葉の方が口から出てた。


今なんかすごいこと言わなかった?私
だってほら、主任の足は止まって驚いてこっちを見てる。


言った私がビックリしてるんだから言われた方はもっと驚いてるはず。

でも、ここまで言ったんだからもう言うしかなくて


「あの、主任にはいつもお世話になって……」


早く続き言わないと。