家に帰りついたのはお昼少し前。
初日の出を見たあと、朝ごはんを食べてから戻ってきた。


「ただいまー」

「ちょうどいいところに。新年のご挨拶に行くから、桃華ちゃんも早く着物に着替えるわよ」

「え?ご挨拶に行くのって明日じゃ―――」
「さっき姉さんから電話があってね。兄さんたちも来てるから一緒にどう?って」


おじさんに会うのは一年ぶり。
普段はなかなか会うチャンスがないから、今日会えないと次に会えるのはまた一年後ってことになる。

あまり寝てないから、ほんとは家でゆっくりしたかったけど。


「準備しておいたから、早くいらっしゃい」


用意されていた訪問着をお母さんにすばやく着付けられた。
お母さんってほんと何でもできるんだよね。


「はい、出来上がり」

「ありがとう、お母さん」

「じゃ、すぐに行くわよ。お父さんも車にいると思うから」


もしかして、すごい待たせちゃってた感じ?

こんなことなら途中で連絡入れればよかった。
でも、主任といる時に家のことなんて全く考えもしなかったんだよね……


「お父さん、ごめんね。お待たせしちゃって」


車に乗りながら言う私を、バックミラーで見たお父さんは


「女の子の着物姿は、何度見てもいいな」

「この訪問着、すごく気に入ってるんだ。かわいいよね?」

「それならお嫁に行っても着れるからね、ちゃんと持たせてあげるから」


持たせてあげる?
どこに?
またお母さんは、去年から私がお嫁に行く話ばっかり


「はいはい。その時はお願いします」


だって、他に言いようがないし。
まぁきっとそのうち
いつかわかんないけどお嫁に行くこともあるだろうから