彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)

主任の電話が渡された。
まずは新年のご挨拶だよね。


「あけましておめでとうございます」

『あ、おめでとう。ごめんね?急にいけなくなっちゃって」

「あ、いえ、お忙しそうですし、大丈夫ですよ?」

『桃華ちゃん。アイツ、ちゃんとエスコートしてる?』


エスコート?
聞いた瞬間にさっき主任が手を繋いで迷子防止をしてくれたことなんて思い出しちゃって。
またもや赤くなってきそうな頬に手を当てて、熱を冷ましてみるけどおさまりそうにない。


『桃華ちゃん?本当に大丈夫?』


心配そうに聞こえてくる朔也さんの声にやっと返事をした私に、


『今度埋め合わせするから、アイツと来てね。じゃ、またアイツに代わって』


結局来れなかった理由は教えてはもらえなかったけど、お詫びしたかったってことなのかな?

「主任。あの、朔也さんが代わって欲しいそうです」と言いながら主任に電話を渡す。


「まだ、なんか?」

「……だから、わかったって、じゃあな」


そしてまたため息を一つ。
そのまま携帯をポケットにしまうと、


「朔也、急用で東京に行くことになって、あんな時間だったので無事に着いてよかったですけど」


けど?


「メールでいいと思うんですけどね、…報告だけなら」


でも新年のご挨拶、朔也さんだってしたかったと思うんだけど
もちろん主任に。


「さすがに寒いですね。そろそろ車に戻りますか?」

「あ、主任。ちょっと、ここで待っててください」


目に入った自販機。
せめてこれぐらい。

主任のコーヒーと私のミルクティ。
冷え切った体をとりあえず温かい飲み物で温めた方がいいよね?

すぐに主任のもとにもどりコーヒーを手渡す。
とりあえず車の中で飲めばいいか。