彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)

神社に近づくにつれて車はのろのろと進むようになった。
駐車場待ちの渋滞らしい。

私たちは運良く駐車できたけど、後ろにはまだ車が並んでる。
これって日にちが変わってお参りしてからじゃないと帰らないんじゃ?


「すごい人ですねぇ」

「ここまでとは思いませんでした」


駐車場もいっぱいだけど、境内いったらもっとすごい人なんだよね?

なんか迷子になりそう……


「準備できましたか?」


ケープも着たし、手袋もつけたし。
ん、おっけー。


「あ、はい!」


お参りって近所の神社にしか行ったことないけど、ここまでの人出はないから圧倒されるっていうか。

両側に並ぶ露店にキョロキョロしながら主任の後ろからついていく。

だから急に立ち止まって振り返った主任に気づかずに、


「うわ―――っ」


モッコモコの私を主任が抱きとめてくれて、とっさに主任のダウンをつかむ。
こんなところで立ち止まってるのは私たちぐらいで、そんな私たちを迷惑そうに見ていく。


「すみませんっ、大丈夫ですか?」


その近すぎる距離に心臓はまたとたんに暴れだして


「すごい人ですから迷子になるといけないので横にと思ったんですが、」

「そ、そうですよね?あの、すみませんっ」


うわーうわーうわー
またやっちゃった

こんなとこでキョロキョロするだなんてまるで子供みたいなこと。


「……ソコ、掴んでて、いいですよ?」


ソコ?
って?

あ、私ったら、まだ主任の腕掴んだままとかっ


「あの、あ、すみませんっ」


ダウンの上からとは主任の腕につかまるとか、ほんともう。


「迷子になったら大変ですからね」


せっかくそう言ってくれてるから、
迷子になるよりまし?

また迷惑かけちゃうもんね