彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)

今日は大晦日。

数日前、実家に戻っていた私は今年は“お友達と”初日の出を見に行くと両親に話をしていた。
寒いのも早起きも嫌いなのに珍しいって言われたけど、そんなこと気にしない。

ベストポイントで初日の出を見るために夜のうちに出て目的地について仮眠してから見るらしい。
もちろん車の中でだけど、暖かくしてくるようにとの注意が主任からのメールに書かれていた。

暖かい服装ていっても、そこはやっぱり女の子。
可愛らしい服装で行きたい。

暖かさと可愛らしさは共存しづらいけどなにかあるはずとクロゼットを覗いて見つけたのは
通勤には着ていけないフェイクファーのポンポン付きのケープ。
あとは手袋とブーツで防寒はバッチリ。のはず。

モッコモコの服装を見て笑うお母さん。


「桃華ちゃん、エスキモーの子供みたいね?」


何それ?
かわいいってこと?
それとも子供っぽいってこと?


「もー、暖かくって言われたから選んだのに、子供っぽかった?」

「ううん、かわいいわよ?」


まだ笑っていっているお母さん。
おかげでその言葉に全く真実味がないんだけど。


「そろそろお友達来るんじゃない?」

「あーうん、ここわかり辛いから公園で待ち合わせしてるから」


まさか、朔也さんたちにここまで来てもらうわけにはいかない。
お母さんに見つかったら大興奮で出かけられなくなりそうだし。


……それに、噂の主任だと知ったらお母さん何を言い出すかわかんないし。


「そう、暗いから気をつけてね?」


いってきますって言って家を出て公園へ急ぐ。


外に出て見ればダウンや暖かいコートに身を包んで歩く人を見かける。
神社も近いから、年明けと同時にお参りをする人たちなのかな?


仲良く手を繋ぎ楽しそうに歩くカップルの姿を羨ましく見つめながら。

私だって……

恋人じゃないけど。
でも、初日の出を一緒に見に行くんだからっ


誰に言い訳してんのって突っ込まれそうだけど、頭の中でそう繰り返す。


公園の駐車場の中に見覚えのある朔也さんの車。

見つけたことが嬉しくて走って近づいていくと主任の姿が。