数分後、駐車場に車を止めた潤兄。


「え?伯母さんが予約してたお店ってここ?」

「だよ。何、ここじゃ不満?」


いや、不満なんてこと全然なくて
むしろ嬉しいって言うか
だってここって……


「いや、不満なんて滅相もない!」

「じゃ、行くぞ」

「あ、待ってよ。潤にぃ」


私は車を降りると慌てて潤兄についていった。

着替えてきて正解。

正解って言うか、もっときちんとした服装の方が良かったかもっていうぐらい。


「予約していた相良ですけど」

「お待ちしておりました相良様。こちらへどうぞ」


潤兄の後ろからついていく私。

席について私を見たスタッフの方が、気がついて少しだけ微笑んでくれた。

何度か席に案内してもらったことのあるスタッフの方だから私を覚えてくれていたのかもしれない。


「桃は飲んでいいからな」

「私はいいよ、潤にぃこそ。私なんだったら運転するし」

「俺はいいよ、桃に車傷つけられたくないからな」


意地悪そうにニヤって笑う潤兄。


「私だって毎日運転してるんだから、そんな下手じゃないからっ」

「桃をちゃんと送っていくっておじさんと約束したから」

「お父さんと?」

「ここに来るのがわかってから桃ん家電話した。だって遅くなったら心配するだろ?」

「あーうん、そうだね。お父さん心配性だし」

「まー責任もって送っていくから、安心して飲めばいいよ」


なんだか潤兄が優しくて気持ち悪い。
いや、気持ち悪いっていう言い方は失礼だけどなんていうか調子狂う。


「じゃあ食前酒だけ頂いてもいいかな?」

「おう、飲め飲め」


今日はメニューはクリスマスディナーメニューのみで、
飲み物だけはメニューを見せてくれるみたい。

スタッフの方に声をかけて飲み物だけお願いするとしばらくして目の前にいつもの甘い食前酒が置かれた。

これ、ほんとおいしいんだよね。