着替えを終えるとPCの近くに置いたままの携帯からメールの着信音がなっているのが聞こえた。

慌ててみると


『ついた』


三文字っ!
うん、意味は通じるけど

携帯をそのまま握り締めてカバンを持って急いで玄関に向かう。

戸締りおっけー
忘れ物はなしと

鍵を閉めて階段を下りると運転席のウインドウが開いて潤兄が顔を出した。


「桃、おなかすいた?」

「あーうん。今日は何ご馳走してもらおうかなって考えてた」

「とりあえず、乗って」


そういえば、潤兄の車に乗るのははじめて。
十八になった時に車の免許を取ったらしいけど、その頃にはとっくにうちには来なくなってたから当然と言えば当然か。

今日の潤兄はスーツ姿。
この前うちに来たときはカジュアルな服装だった、夏祭りの日は浴衣だったし。


ふぅーん
かっこいいじゃん


私って実はスーツ萌えだったのかな?
スーツ着てる男の人はかっこよく見える。
まぁ潤兄は元がいいから何でも似合うって言ったらそうなんだけど。


私が助手席に乗ってシートベルトをしたのを確認すると車は走り出した。

運転しながら潤兄は、「本当は母さんが予約してた店なんだけど、行けなくなったって連絡入ったからそこでもいい?」と。


伯母さんかなりおいしいもの好きで、評判のお店は大体制覇してる。

しかも私と違って財力あるからおいしいと聞けばどこでもいっちゃうみたいなんだけど。

その伯母さんが予約した店。
なんかすごいとこだったりしない?
大丈夫なのかな?


「私はいいけど―――」
「じゃ、決まり。さすがに当日キャンセルは無理だろって言ったんだよ」

「……そうだよね」


で?
それってどこ?