レストランについたのは八時前。
思ったよりもショッピングモールにいたらしい。

今日も朔也さんの笑顔は最強で。


「桃華ちゃん、昨日のスーツも大人っぽくてよかったけど、今日は可愛いね♪」


なんなんでしょう。
こういう言葉がさらっと出てくるのって。嬉しいより、ちょっと怖い。

私はやっぱり、さりげなく優しくされたり、頑張ったことを見てくれてたり、さりげなく褒めてくれたりする方が好き。
人によってはいつでも綺麗だよとかかわいいねなんていって欲しい人もいるけど。

そりゃ、言われれば嬉しいけど。
きっとそういうのはたまに言われるから嬉しさが倍増って言うか、


「あ、りがとうございます……」


一応お礼言ったけど、もしかして顔引きつってなかった?私。
朔也さんは微笑んで続けた。


「随分遅かったけど、どこか行ってきた?」


えっと?
ショッピングモール行ったこと、朔也さんに言ってもいいのかな?
少し迷って主任を見上げると


「ドライブがてらショッピングモールに」

「どうせならもっと遠くにドライブ行けばいいのに」


それドライブって言うかデートっていうか。
このお店に来るついでっていう理由から外れてませんか?


「そういえば、海に沈む夕日……」

「でもそれさ、夏のがよくない?これからだったらちょっと先だけど初日の出とか?」


はい?
初日の出?
海から昇る太陽を新年最初に見る、あれですよね?


「先すぎだろ」

「じゃあ、遊園地とか?…いや、純哉に遊園地は似合わな―――」
「水族館なら、アリだな」


はい?
今度は水族館?

主任もっ
朔也さんにのせられて何真剣に考えてるんですか?!


「あ、あの」

「どうしたの?桃華ちゃん」


二人にいっせいに見られて、ほんとは突っ込みどころ満載なのにそれをさせないその視線。


「あ、いえ、なんでも…ナイデス」

「一日だったら、俺も店休みだし、一緒に行けるんだけどなぁ?どお?桃華ちゃん」


まだ十一月に入ったばかりでそんな先のこと……


「水族館は無理でも、日の出は見に行けるかもな」


水族館は無理なんだ。
そっか。残念。


でも
朔也さんも一緒だけど、もしかして初日の出。
主任と見れたりしちゃう?