着いた場所は大型のショッピングモール。
以前この中にあるショップに巡回に来たとき、私が「休みの日に来たかった」って言ったらしい。

私さえ覚えてない、その時ぽろっと口からでた他愛もない会話を覚えていてくれた主任。

かといって主任と一緒にショッピングなんて出来るわけもなく、コーヒーショップに入ることになったけど。


「女の人はこういうところ好きですよね?」

「まぁそう…ですね。主任はこういうところはこないんですか?」

「全く」


予想してたけど、こうもバッサリ言われて

……会話が続かないって。


「あぁ、書店ぐらいなら」

「本屋さんですか?ここ大型書店入ってますけどいきます?」

「いえ、」

「あの、私も見たい本があるので良かったらですけど」


もちろん見たい本なんてないけど、こうでもしないと主任行かないそう。
主任と私ってやっぱり全く接点がなくてこうして主任の時間を拘束していることを申し訳なく思う。

でも休みの日に主任のそばにいられることは、それだけで嬉しい。

嬉しいけど、緊張する。


だって
これって
まるでデートみたいじゃない?


「では、少しだけ」

「はい!」


主任がそう言ってくれたことに気をよくして微笑んだ。

だって本屋さんで本を真剣に選ぶ主任をそっと眺めるなんて事なかなかできないでしょう?


私は本屋で主任の横顔をたっぷり堪能して大満足。
主任はレジで数冊の本を購入したみたいだけど、なんか難しいコーナーの本だったからきっと私はわからない。


「そろそろおなかすきましたか?」

「あ、そういえば、そうですね」


フッ

普段ならメガネの奥の瞳が微笑む様子はあまり見れないから口角の少しあがった角度で微笑んだと認識してたけど

今日はメガネがないから、微笑んでるのがよくわかる。


微笑んだ理由はともかくっ
朔也さんとは違う種類の笑顔でかなりの攻撃力です!それっ