彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)



「……さん、あま…せ…ん」


誰かが呼ぶ声が聞こえたような気がして目を覚ました。

見慣れない部屋。
見慣れないタオルケット。


ん?
ここ、どこ?


「起きましたか、天ヶ瀬さん」


ん?夢の中?
後ろから聞こえてきた声は、主任?
え?主任?!!!

あわてて飛び起きると、回らない頭でここがどこか考えた。


……そうだ、主任の看病してて。

うわぁ、私ったらそのままリビングで寝ちゃったんだ。
しかもソファーを枕にしてうたた寝とかっ


後ろから聞こえてきた声は確かに主任で、コップを手にしてこちらに歩いてきている。


「主任っ寝てなきゃダメじゃないですかっ」

「だいぶ楽になりましたから。天ヶ瀬さんこそ、そんなところで寝たら風邪ひきますよ?」

「でもっすごい熱だったから……」

「ほら、もうこの通り」


さわりますか?とばかりに額を近くに持ってくる主任。


ち、近いってば!!!!!


慌ててぶんぶんと首を振ってそれを拒否する。
それを見た主任の顔がくしゃってなってハハハと笑い出した。


「冗談です。そんなにムキになって拒否しなくても」

「あのっ、本当に大丈夫、なんですか?熱」


床に座ったまま見上げるようにして主任に問うと、


「だいぶ汗をかいたのでシャワー浴びようかと思ってリビングに来たら、ネコみたいに丸まって天ヶ瀬さんが寝ていたので」

「や、あの、寝るつもりは、ほんとになくてって、え?今、何時ですか?」

「2時ですね」

「え?あのすみませんっ、すぐにお暇しますの―――」
「ダメです」


へ?
なに?
今ダメって?
どういうこと?


「送ってもいけませんし、こんな時間に帰るのは危ないじゃないですか」

「え?でも、車、ですし、近所ですよ?」

「朝になってからにしてください」


え?朝って、このままこの家に泊まれって事?