階段の頂上に着くと、陽菜はちょうど部屋のドアノブに手をかけていたところだった。
ドアは引かないと開けられない。
俺は、強引だとは思ったが、考えている暇などなかった。
陽菜がドアを開けようとした、その時。
「ちょ、待って……!」
俺はドアを押さえる行動をとった。
陽菜は、必死にドアを引っ張ろうとするが、俺の押さえる手があって開かない。
なんというか、壁ドンみたいになってしまった……。
そしてその時思った。
そういえば、「ゆっくり」って思ってたのに……!!
父さんにも「ゆっくり時間をかければ分かり合える」って言われてたのに……!!
俺、普通に反対の行動取っちゃってんじゃん!!
うわぁ、なんで気が付かなかったんだろ。
なーんで俺ってばこんなこと……
確かに、何もしない状況のままだとそれに慣れちゃって話さないままになっちゃうのはあると思うよ?
でもさ、これはこれでやっぱ早すぎたよな!!?
あ〜〜やっちまった……。
この思考時間、約3秒。
俺は自分の行動に後悔しながら、でも後戻りはできないと感じて陽菜に自分の気持ちを伝える決心をした。

