それから三日が経った。
俺の部屋は陽菜の部屋の隣。
もともと物置部屋として使っていたらしいけど、すごく綺麗に片付けてあって、俺の居場所へと化していた。
父さんは由香里さんと、前に使っていた寝室を使うみたいだ。
生活範囲のことは特に困ることはなくて、むしろアパート生活の時より贅沢をしている気がする。
アパート生活の時はアパート生活の時で特に何も思わなかったけど、
それが普通になってたから、今この家での新生活がすごく豪華に感じてしまうのだ。
由香里さんは優しいし、
いろいろとすごく気遣ってくれるし、
作ってくれるご飯は美味しいし、
本当、こんなに贅沢させてもらっていいのだろうかというくらい。
でも……陽菜にとっては、最悪なことだらけなんだろうな。
俺達が来たせいで、陽菜の居場所は狭くなってしまっただろう。
リビングでいつもくつろいでいたかもしれない。
それをあとから来た俺たちが、陽菜をいつもの居場所に居ずらくしてしまっている。
そう。
俺と陽菜の距離は、一向に縮まらないまま。
陽菜はあまり部屋から出てこないし、出てきたとしても冷蔵庫から何か漁って、またリビングから去っていく。
一言も言葉を発さずに。
俺たちの方も見ずに。
夜ご飯とかも、陽菜は一緒に食べようとしない。
だから、由香里さんが陽菜の部屋に持っていっている。

