「ま、まだ家族認定してもらえてないのに、
勝手に自分の情報言われるとか……きっと、嫌かもしれないし
俺だったら、俺の知らないところで
他人に自分の情報伝わってたら、なんか嫌だし……
ちゃんと陽菜さんの口から言ってくれるまで
俺、待ちたくて。
言ってくれるかわかんないし、
まだ、家族にすら認めてもらえるかわからないけど
少しずつ、俺は歩み寄っていきたくて。」
「…………」
息子の言葉で、一瞬時間が止まる。
……なによ。
私のこと、知ったような口で言わないでよ。
私が自分の口から言うとでも思ってんの?
言うわけないでしょ。
自分のことは知られまいと思って今ここで盗み聞きして
余計なこと言われそうになったら止める準備してるのに。
それに、あんたたちを家族にだって認めるわけないでしょ。
今日会ったばかりの他人が、私の何を動かせるっていうの。
歩み寄ったところで、心を開いてもらえるとでも思ってんの?
見返りしか求めない汚い人間のくせに。
裏切るくせに。
都合が悪くなったら、責めるくせに。
自分の思い通りに動かせるとか思わないでよ。

