「……ありがとう、空くん。」 女の人は、少し泣きそうな声でそう言った。 「あ、いやこちらこそっ」 俺はうつむく女の人を見て、少しオロオロとしながら言葉を返す。 「ありがとう由香里。大丈夫だよ。焦らず時間をかけていけば、きっと分かり合える時はくるよ」 ずっと隣で黙って聞いてくれていた父さんは、ここでようやく口を開いた。 そしてやっぱり、大人というだけあって言葉に説得力がある。 やっぱすげーな、大人って。 なんて、少し感心してしまった。