「さっ、こんなところに突っ立っててもなんだし、ほら入って入って♪お茶入れるわ♡」
父さんの再婚相手の人が、パッと切り替えるように笑顔で俺たちにそう言った。
「すまないな」
「何を謝ることがあるの♪今日から家族なんだから、遠慮はなしよ♡」
暗い顔を見せる父さんと、それとは反対にニコニコと笑顔で対応する女の人。
その笑顔につられて、父さんも少し、口元がゆるむ。
「お邪魔します」
「あーダメダメ!今日からここはあなたの家になるの。だから、これからは「ただいま」って言わなきゃダメよ♪」
女の人は、なんだか楽しそうにそう言ってくれる。
「あ、すみません……」
「あと敬語もなし!遠慮もダメ!肩の力抜いて、普段通りでいいんだからね」
俺が謝ると、女の人は俺の肩をポンポンと優しく叩いて言う。
女の人は真剣な顔をしたかと思うと、またすぐにさっきまでの笑顔に戻り、「さっリビングに行きましょ♪」と言って俺たちを誘導してくれた。
この女の人……なんだかすごく安心するな。
想像以上に優しいし、想像以上に安心感がある。
ニコニコしてて、まだこれが初対面だけど、なんとなく頼りがいがあるようにも思う。
うん、よかった。
いい人で。
改めてそう感じた俺は、女の人と、その後に続く父さんを追って、リビングに向かった。

