いやまさか
そんな偶然あるわけ……
でも、
よく見てみると
面影があるような。
頭の中で、助けてくれた女の子の姿を鮮明に思い出そうとしていると
「……おかあさんが一番、私のことわかってくれてると思ってたのに」
消えそうな声で女の子が言った言葉が、ちゃん聞こえてきた。
今にも泣きそうで、少しかすれた声。
さっき大声で叫んだから、喉にダメージがいったんだろう。
女の子は、半分しか姿を見せていなかったが、
ゆっくりともう半分の姿を見せ、やっと女の子をしっかりと見ることができた。
女の子は、何も言わずに下を向いてこちらに近づいてくる。
と、思ったら、
玄関に入ってすぐ右側にある階段に足をかけた。
そして、階段を上がっていき姿が見えなくなったところで、ドアが閉まる音がした。
女の子の背中は、とても弱々しく、小さく見えた。

