「ありがとう。俺、すげぇ嬉しいわ。」
私の頭にポスッと顎を乗せていう空。
改めて今の状況を確認してみると、私と空は抱き合うような体勢になっている。
わ、私……何を!?
自分の行動に恥じらいを感じて、私は空から離れようとした、けど。
空の力強く抱き寄せるその腕に、またなぜか安心感を覚えてしまって、抜け出せることができなかった。
「よかった……」
ふと、空がそう呟いた。
切なく、震えそうな声で。
一瞬だけ、空の弱い部分を感じた気がする。
今まで自分のことばっかりであまり考えれてなかったけど、空だって、たくさん苦労……してるんだ。
ドクン、ドクンと、空の心臓の音が聞こえる。
雨がザーザーと降る中、私は空の心臓の音だけを聞いていたんだ。

