「女の勘って……」




そう言って疑い深い顔つきを見せつけながらも、自分が発した言葉を取り消せるような言い訳が思いつかなくて、黙り込む私。


に対して、明るくニコッと笑うお母さん。




「それに、陽菜も気づいてるんじゃない?


空くんの人の良さに。


あの子、とても瞳が綺麗だし、純粋な感じがしちゃう☆」




お母さんのその言葉に、心臓がビクッと跳ねる。




私が思っていたことと、全く同じことを言うから。




「…………」




私が黙り込んでいると、お母さんは私の顔をのぞき込むようにして言った。




「そろそろ認めてあげたら。“家族”って。」




“家族”……。


そんなの……




「知らないっ」




私はお母さんから目をそらし、ぷいっとそっぽを向く。




そして、ホットミルクをひと口ごくんと飲んだ。




もうホットミルクは少し冷めている。




「ふふっ、素直じゃないんだから☆」




お母さんはおちゃめさ全開で私の頬を人差し指で突いてくる。




「やめてくんないかなそれ……」




呆れた顔で言う私。




「あはっ、じゃ、また明日ね♪」




そしてすくっと立ち上がり、お母さんは私の部屋からそそくさと出ていった。




「…………元気だな。」




ぼそっと呟いた私は、お母さんが出ていった部屋のドアの方を眺めながらまたホットミルクをひと口飲む。