コンコンコン




「陽菜〜?入っていーい?」




部屋のドアをノックした後、ドアの向こうからお母さんの声が聞こえる。




「うん〜」




私はベッドに寝転がっていたが、よっこらしょと体を起こし、座る体勢になる。




ガチャッと部屋のドアがゆっくり開いた。




「ちょっと、話したいんだけど♪」




そう言って部屋に入ってきたお母さんの両手には、マグカップが持たれていた。




「え、両手ふさがってんのによく入ってこれたね」


「肘で開けた♪」


「き、器用だね……」




少々驚く私にお母さんは笑顔でサラッと答える。




「熱いから気をつけて」と、一言添えてお母さんは私にマグカップを差し出した。




中身はホットミルク。




湯気が立っていて確かに熱そう。




「ありがと」




マグカップの中身を見つめながら言う私の隣に、自分の分のホットミルクを持ちながらゆっくりと座るお母さん。




「話って?」




私がお母さんの方を見て聞くと、お母さんはホットミルクをひと口飲んでから口を開いた。