陽菜から過去の出来事を一部聞いた。




そんな重い過去を背負っていたんだから




俺たちを拒絶するのは当たり前だ。




怖いのだって、当たり前だった。




でも、陽菜は少しだけ心を開いてくれた気がする。




あんなにも俺の顔を見ることさえ拒んでいた陽菜は




俺にこうやって過去を話してくれた。




目を見てくれるようになっただけでも奇跡に近いのに。




俺に話をしてくれたのは、本当にこれは現実なのかと疑うほどだ。




夢なんじゃないかと思う。




でも、夢じゃないんだ。




過去の話を聞いて、どれだけ恐怖を抱えてきたんだろうかと考えると心をナイフで刺されるように痛い。




でも陽菜はもっと、心をズタズタに切り裂かれているんだ。




一度閉ざされた心は、外からどれだけこじ開けようとしても絶対に開かない。




頑丈に、いくつもの鍵が念入りにかけられている状態だ。




陽菜が自分から開けようとしてくれなければ、いつになっても開かないままなのだ。




俺もそうだったからわかる。




だけど、鍵をかけたままでは何も進歩しない。




陽菜に、ずっと暗いところに閉じこもっていてほしくない。




陽菜。




俺は




陽菜の力になれるだろうか。