‐「ほんとにそれでいいのか…?」

屋上で、凛月(りつき)の話を聞き、純生(じゅんき)は静かに凛月に問う。

明日、粋香は退院し、早くても明後日には、学校に戻って来る。

粋香の記憶は、相変わらず戻らないが、自分が誰で、純生や夏菜子(かなこ)は自分にとって何にあたるのかは思い出した。
だが、入院中、一度も病室に来なかった凛月を、ついに思い出す事は出来なかった。

「幸い、俺の事は思い出していないようだし、純生の友だちとして、再び仲良くしていくよ」

痛ましげに凛月を見る純生に、

「これしかアイツを守る方法がねぇんだよ…」

凛月は泣きそうになりながら、絞り出すように言う。