‐目を覚ますと、白い天井が視界に飛び込んで来た。

事情が飲み込めなくて、身体を起こそうとするが、頭がズキズキと、激しく痛む。

「…え、なに」

泣きそうになっていると、

「大丈夫?」

身長は低いものの、人懐っこい笑顔に、たまにチラリと見える八重歯が特徴の男が、粋香(すいか)の元にやって来た。
身構える粋香に、

「あ、これでも僕、医者です」

医療従事者が、首にかけている名札を見せた。
そこには、『医師 浅利 風助(あさり ふうすけ)』と書かれていた。

「風ちゃんと呼んでね!」

医者とは思えない程のフレンドリーさに、一気に警戒が解けた粋香は、

「どうしてわたし、病院にいるの…?」

風助に質問をした。