驚く夏菜子に、

「りっちゃんは特別」

照れくさそうに、粋香は笑った。

粋香は部屋に入ると、自分でベッドまで行き、横になった。
どうしたら良いかわからず、凛月がドアの辺りで立ちすくんでいると、

「こっちへ来て」

粋香が凛月を呼んだ。

「わたし、あんな事があった前から、りっちゃんが好き。
でも、りっちゃんは、わたしを通して、誰かを見てる…。
振られると思ったから、告白出来なかった…」

「…粋香ちゃんて、元カノにそっくりで、初めは確かに、元カノに似てるから、そういう気持ちで近づいたし、仲良くなった。
だけど今は、粋香ちゃんが好き。
あんな事があったから、今すぐ付き合ってほしいとは言わないけど、いずれ、付き合いたいと思ってる」

凛月の真っ直ぐな視線に、粋香はどうしていいかわからず、思わず視線を外してしまったけれど、すぐに凛月を見た。

「りっちゃん、これからも…わたしの傍にいてね?」

「当たり前だろ♪」

…あの時、確かにそう答えたのに、どうして人は、裏切る形で、先に進んでしまうんだろう…?
粋香を想った上であっても、もっと他に方法はいくらでもあったはずなのに…。