「そういう時に飲ませる薬をもらった」

「…それって」

「精神安定剤。
元々、不安定な子なの」

そこまで言って、夏菜子は凛月を見た。
粋香が、精神的に不安定なところがあると知り、粋香を避けないか気になったのだ。
だけれど、粋香を見る、凛月の目は以前と変わらない。

「すいちゃん、あんな事があったから、当たり前かもだけど、男の人が嫌いになったの。
純生にもよそよそしい感じで。
なんか、男 = 性欲の塊と思っているようで…」

「かなちゃん」

突然、先程までテレビを見ていた粋香が、こちらを見ている。

「なんか、ココロが疲れた」

心なしか、顔色も悪い。

「あ、じゃあ、横になろうか」

夏菜子が、粋香を、部屋に連れていこうとすると、

「りっちゃんがいい」

きっぱりとした口調で、粋香は言った。