「ほんとは殺したいくらい、お前が憎い。
幼なじみじゃなかったら、今頃、飛びかかってる。
だけど、そうしないのは、お前が、そんなひどいヤツじゃないって知ってるから。
男より口が悪いけど、思いやりのある、優しい子だって知ってる…!
…なあ、元のお前に戻ってくれ」

最後は、泣きそうになりながら、友梨に話し掛ける。
友梨も、凛月の気持ちがわかり、目に涙を溜めながら頷く。

「…なんで?」

帰ろうと、ドアを閉めようとした凛月に、友梨は問い掛ける。

「…え?」

「なんで、あの子なの…?
…茜里(あかり)に似てたから?」

友梨の真っ直ぐな視線に、凛月は正直に答えなければならないと思った。

「初めは。
だけど、今は、そういうの、抜きにして、粋香が好き」

「…そう」

友梨は力なく、呟くと、玄関のドアを閉めた。