友梨の平手打ちがあまりに強く、いつまでも頬を手で抑えていると、

「被害者ぶってるんじゃないわよ!
目障りだから、さっさと教室に行けば!?」

友梨は、粋香の背中を軽く押し、粋香に教室に向かうよう仕向けた。

本当は、言いなりになりたくなかったのだけれど、頬が痛くて、赤くなっていないか気になり、校舎に入ってすぐにある手洗い場で、顔を覗き込んだ。

やはり真っ赤に腫れていて、ハンカチを濡らし、頬にあてると、とても痛い。

しばらく冷やしていると、

「粋香ちゃん?」

凛月の声が聞こえ、振り返るのを躊躇したが、凛月は異変を感じ、粋香の前に周り、粋香のハンカチをソッととった。

「なんだよ、それ」

唖然と、怒りともとれる声のトーンに、ビクりと粋香の肩が揺れる。