粋香を、倉庫の前で降ろし、地面に散らばったままのスコアブックを拾うと、粋香に渡した。

「勉強熱心なのはいい事だけど、あんま根を詰めすぎるなよ?」

凛月が、粋香の頭を優しく撫でると、

「ちょっと、りつ!
何してるの!?」

ヒステリック気味に、友梨が叫ぶ。

「何をするにもいちいちお前の許可が必要なわけ?
幼なじみに、報告する義理ねぇよ。
それより、お前のクラスは、体育が終わったんだろ?
さっさと教室に戻れよ」

素っ気なく、凛月は言う。
友梨は唇を噛み締めると、足早に校舎の中に入って行ったが、中から粋香を睨んでいた。

「アイツ、意味わかんね」

凛月は言ったが、それが嫉妬だと気づくのはもう少し後の話-。