凛月の顔を見て、安心したのか、粋香は泣き始めた。

「わーっ!
ちょっと待って待って」

凛月は、泣きじゃくる粋香の手を取り、ゆっくりと話せる屋上へ向かった。

途中、粋香にはココアを、自分にはコーヒーを買い、屋上の椅子に座ると、粋香にココアを渡した。

「…ゆっくりでいいから」

粋香が話すまで、急かす事もせず、凛月は先程買った、コーヒーを飲みながら、ぼんやりと座っている。

「さっき、顧問に呼ばれて、…マネージャーにならないか?って。
スコアブックが上手で、ルールも理解出来てるからって。
でも、それって選手として、わたしは要らないって事なのかな…?」

ソフトボール部の事情がわからず、下手に口出ししてはいけないと思ったから、粋香が泣き止むまで、粋香の髪の毛を優しく撫でた。