昔から人形に魂が宿ると聞いたことがある
そんなの迷信や都市伝説だと思っていた

しかも、モモちゃんはぬいぐるみ。
そんな迷信やらが当てはまるはずもなかった

でも、前にお母さんが話してくれた
幼い私から聞いたというお父さんの話。

私は確かめるべくお母さんの元へと車を走らせた。


「お母さん、私が小さい時に
モモちゃんにした願掛けってなに?」

「何かあったの?今更そんなこと聞いて来たりして〜」

お母さんは軽く笑ったけど、
私の真剣な表情に
ただ事じゃない何かがあると感じ取ったのか
すぐに、あの時の話をし始めてくれた。

『どうか私の寿命を削ってでも
モモちゃん、お母さんをお助け下さい。』
そう言った幼き私を見て

お母さんは、この子を泣かすことをしてはいけないと思ったそうだ。



やっぱり、モモちゃんと私には
目に見えない取引が交わされてる。

私が家族のように可愛がりすぎたせいで
モモちゃんは心が芽生えたのかもしれない。


私の願いが一つひとつ叶うことで
私の命が削られているんだ。


その願いが困難な願い程、
きっと私の寿命は大幅に減っているんだ。



私は確信した。
それと同時にお父さんの言葉が頭をよぎった



「約束できないなら最初からしないこと」


瑠璃が産まれてからも
色々とモモちゃんにお願いしては助けてもらってきた。
瑠璃が成長すればするほど、願うことが多くなっていった。


それなのに、私は瑠璃の成長が
これから先ずっと、ずっと
見守っていきたいと思っていた。


私の寿命と引き換えに
叶えてもらってきた数えきれないほどの願い


今更後悔しても
もう手遅れだった。