二年前のある事件をきっかけに声が出なくなってしまった。



「だって数学わかんないし。」



ー寝てるからわかんないんだよ。ー



「起きててもわかんないんよ。私はハルとは違うもん。」



ーしぃはやればできる子。ー



ハルはにこっと微笑んだ。



でた、キラースマイル。



この笑顔で何人もの女の子を虜にしてきたのを私は知ってる。



何度告白されても全部断ってるけど。



変なの。



ハルに何か変化があれば声だって出るかもしれないのに。



「ねぇハルー。昨日も告白されてたよね。何でOKしないの?」



ー好きじゃないから。ー



あっさり。



冷めてるよなぁ。



ーしぃ、そろそろ帰ろ。ー



いつの間にか教室は二人きりになっていた。



「ん、帰ろっか。」