凪ぐ湖面のように

「出演して頂いたらお礼に、スイーツランドの入場券と隣接するホテルのペア宿泊券を差し上げます」

ウフッと友枝女史が妖艶な笑みを浮かべる。

「それにはホテルのディナーと朝食も付いているんですよ」

スイーツランド! あのラブリーなモグタンがいる夢の国。で、隣接するホテル! あのSランクと言われる超豪華スイーツランドホテル。おまけに、そのホテルで食事ができる!

話を聞くだけで頬が緩む。

「分かりました。そこまで仰るのならお引き受けします」

夢の国に飛んでいた私を無視して、湖陽さんは勝手に即答する。
彼は勉強熱心だ。おそらくホテルのディナーと朝食に惹かれたのだろう。

「いやぁ、ありがとうございます。では早々に」

私には、「あ」も「い」も言わさず話は進んでしまう。

「えっ、貴方があのカフェ・レイクのオーナーさん!」
「おっ、俺も知ってるぞ、その店」

話の途中で店の名が出てきて、友枝女史と水谷さんがビックリ眼で湖陽さんを見る。

「どうりで、何処かで会ったことのあるイケメンだと思った」

友枝女史がしみじみと頷く。