凪ぐ湖面のように

「お察し通りです。ビジュアル的にもバッチリなんです。よろしくお願いします」

頭を垂れる水谷さんに続いて、あとの二人も一緒に頭を下げる。

「岬、どうする?」

湖陽さんがワザとらしく手を繋いでくる。思わず振り解こうとすると……。

「すみません。ご覧の通り、僕の彼女、物凄く恥ずかしがり屋で、カメラの前に立つなんて無理だと思います」

テレビ局三人組の視線を浴び、益々頬が赤くなる。

「いやぁ、今時の子には珍しいぐらいシャイなんですね。メチャ気に入った! ぜひともお願いします」

回避作戦は見事外れましたね、と羞恥プレイをされた私は非難の目で湖陽さんを見る。

「滝をバックに、愛おしげに見つめ合うその姿、絵になる!」

すると水谷プロデューサーがそんなことを言う。

何とスッ惚けた男だ! 良くこれでプロデューサーが務まるものだと逆の意味で感心する。

「水谷さん、ゴリ押しはいけません」

流石、友枝女史。彼女が毅然と言う。